「億劫」とは、現在使われている、 めんどくさいことや、どうも気が進まないというような意味ではありません。
読み方も「おっくう」ではなく「おっこう」と発音し、 仏教では、はかりしれない時間の長さを意味しました。
「劫(こう)」とはインドの「カルパ」で、意味はながい時間です。
どれくらいかというと、40里四方の岩があり、 天女が10年に一度ずつ現れて、天女の羽衣でサーッとなでるのです。 それを繰り返し、その岩が完全にすり切れてなくなる時間を1劫というのです。
40里四方ですから、今の1里(7km)と単位は違っても、 富士山よりも大きい岩でしょう。
そんな岩が完全にすり切れるのですから、 途方もない時間です。
しかし、そのはかりしれない時間を以て、我々の迷いの深さを表し、 その苦しむものを救うと誓われたお慈悲の尊さとご苦労を表現されたのです。
現在では「億劫」を「おっくう」と読み、 面倒くさいという意味に変わっていったと思われます。