「袈裟」とは、インドの僧が身に付けた衣(カサーヤ)のことです。 捨てられたぼろ布を洗って縫い合わせたために糞掃衣(ふんぞうえ)とも呼ばれます。
インドでは25枚の布を縫い合わせた大きな正装衣と、 普段用の袈裟、寝るときなどに着る肌着の三種類の袈裟を所有し、 これらに托鉢(たくはつ)で使う鉢を合わせた三衣一鉢が、 出家の僧侶に許された所持品でした。
また女性の出家者はさらに二枚の下着が許されました。 そしてチベットや中国などの寒い地域に伝わるにつれ、 規定の三種類では寒さを防げず今のような形式へとかわっていったようです。
今日 僧侶が用いているのは、 葬儀・葬式で着るのがひときわ華やかな七条袈裟(しちじょうげさ)、一周忌法要や年忌法要につけるのが五条袈裟(ごじょうげさ)、普段のお参りで着用しているのがされに小さく畳(たた)んだ輪袈裟(わげさ)です。方形に裁断された布を縫い合わせる製法はインド以来の伝統をまもっているものです。
「大袈裟(おおげさ)」も、 もとは大きな袈裟を意味していました。