「愚痴」とは、「痴(ち)」とも「無明(むみょう)」とも呼ばれ、 意味はおろかな、ものの道理のわからないことです。
まことの道理に対して暗いことで、 妄想、錯覚、迷いといってもいいでしょう。 「愚痴をこぼす」と同じ意味ではありません。
そして、「貪欲(とんよく・欲望)」・「瞋恚(しんに・怒り)」とセットになって、 「三毒」の一つに数えられます。
この三つがセットになるには理由があります。 自分の都合によいものを貪り(むさぼり・貪欲)、 自分の都合の悪いものには怒って排除しようとする(瞋恚)、 その貪りと怒りの中心となるのが、自己中心的な愚痴なのです。
この愚かな道理に暗い「愚痴」があるために、 「俺が、俺が」と自分を中心に貪ったり怒ったり、 善いおこないを害し、身心を傷つけてしまいます。 だからこそ「三毒」と呼ばれるのです。